アティさんのもとボーイフレンド

 この結婚式にはアティさんが以前付き合っていた彼氏も出席していた。彼女に「アティさんにはボーイフレンドはいないの?」と尋ねたら「今はいないけど、ちょっと前に付き合っていた人がいるの。ここに来ているのよ」と言う。「えっ、どの人?」「すぐ見てはだめよ。気づかれないように後でみてね。ポリスの制服着てる人よ」「そう言えばさっきこっちをチラチラ見てた人ね。やっぱり気になるのねえ」という会話を交わした後で別れた理由を聞いてみた。

 

「私に対して『あれしちゃ駄目、これしちゃ駄目』っていちいちうるさくて会う度にけんかするようになっちゃったの。これじゃ付き合っててもしょうがないって思うようになったのね」なるほどイスラム教徒の国であっても新しい世代が育っているようだ。それにしてもポリスになるような人は日常生活でも人を規制したがるのだろうか。

 

アティさんはイスラム教徒なのにベールを被っていない。その理由は勤務先のホテルではベールの着用が禁止されているからだそうである。仕事で被らなくなったらそれが習慣になってしまったらしい。しかし彼女のお母さんが被っていない理由については残念ながら聞きそびれてしまった。

 

マレーシアではどこに勤めていてもみんなベールを被って仕事しているという話をしたら、彼女の方が驚いていた。お隣の国でありながらその生活ぶりを知るチャンスはあまりないらしい。それに気軽に外国旅行に出かけられるほどのゆとりはないのである。

 

彼女の目下の夢は、一生懸命お金を貯めて隣の島バリへ旅行することだそうだ。「どの辺りに滞在するつもり?」と聞くと「シガラジャに行きたいの」とのこと。航空券が高いからもちろん飛行機で行くわけではない。1日がかりの長距離バスの旅になるそうだ。 「うーん、私だったらめげてしまいそう!」

 

ボロブドゥール遺跡で